点(a, b) を通り,傾き m の直線の方程式は もしくは y=f(a)+f’(a)(x−a) ・・・(3) 右図1のように,「接線のy座標」は,x=aのとき「曲線のy座標」と完全に一致するが,x がa に近い値をとるときは,その近似値となっている. すなわち, |
図1 |
○ 1次の近似式 x がa に十分近い値をとるとき,
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例 f(x)=(1+x)2 のとき f’(x)=2(1+x)だから,f’(0)=2 x が0に十分近い値をとるとき f(x)≒f(0)+f’(0)x=1+2x 正確な値,f(x)=(1+x)2=1+2x+x2 と比較すると,x=0.1 ならばx2=0.01 となり,その差はほとんど無視できるほど小さい. |
例と答
(1) x≒0 のとき,f(x)=sin x の1次の近似式を求めよ.
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(答案) f (0)=0 f’(x)=cosx ,f’(0)=1 だから f(x)≒0+1x=x |
(2) x≒0 のとき,f(x)=の1次の近似式を求めよ.
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(答案) f(0)=1 f’(x)=(1+x)− ,f’(0)= だから f(x)≒1+x |
(3) 1次の近似式を用いて,次の値の近似値を求めよ.
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(答案) f(x)=(1+x)−5 とおく, f’(x)=−5(1+x)−6 x≒0 のとき, f(x)≒f(0)+f’(0)x=1−5x f(0.01)≒1−5×0.01=0.95 |
短答問題 |
f(x)=log(1+x), f’(x)= f(0)=0, f’(0)=1 f(x)≒f(0)+f’(0) x=x f(0.01)≒0.01 ( f(1.01) ではないので注意) |
(2)
ただし,π=3.1416 とし,結果は小数第3位まで求めよ.
tan≒
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f(x)=tan x, f’(x)= f(0)=0, f’(0)=1 f(x)≒f(0)+f’(0) x=x f()≒=0.105 |
(3)
≒
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f(x)=(1000+x), f’(x)=(1000+x)− f(0)=10, f’(0)= f(x)≒f(0)+f’(0) x=10+ f(1)≒10+=10.003 |
○ 2次の近似式 (5)式はh が0 に十分近いときh の1次式で近似式を表わしたものとなっている x がaに十分近い値をとるとき,
f(x)≒f(a)+f’(a)(x−a)+ (x−a)2 ・・・(7)
hが0に十分近いとき f(a+h)≒f(a)+f’(a)h+h2 ・・・(8)
a=0 のとき
f(x)≒f(0)+f’(0)x+x2 ・・・(9)
これらの式を関数 f(x) の2次の近似式という. |
(解説) h が0 に十分近いとき h=0 のとき,f(a)=g(a) ・・・(*1) h=0 のとき,f’(a)=g’(a) ・・・(*2) h=0 のとき,f”(a)=g”(a) ・・・(*3) を条件とすると, (*1)より,α=f(a) (*2)より,β=f’(a) (*3)より,γ= ※ 一般に,anxnをn 回微分すると n! an となる. |
○ テイラーの定理 x がaに十分近い値をとるとき,
f(x)=f(a)+f ’(a)(x−a)+ (x−a)2
+…+(x−a)n+Rn ( n次導関数を f(n)(x) で表わす.) hが0 に十分近いとき f(a+h)=f(a)+f’(a)h+ h2 +…+hn+Rn これをテイラーの定理という.( Rnは近似式と真の値との誤差 ) 右辺を無限級数(数列の和の極限)にしたもの(このときRn→0 となる)をテイラー展開という. f(x)=f(a)+f’(a)(x−a)+ (x−a)2 +…+ (x−a)n+··· f(a+h)=f(a)+f’(a)h+h2…+hn+··· テーラーの定理,テイラー展開において,特にa=0 の場合は,マクローリンの定理,マクローリン展開と呼ばれる.
f(x)=f(0)+f’(0)x+x2+…+xn+Rn f(x)=f(0)+f’(0)x+x2+…+xn+··· ※ テイラー展開,マクローリン展開ともに,「無限級数が収束するようなx またはh の値の範囲」を吟味する必要があるが,ここではh またはx が十分0 に近く,収束する範囲内にある場合を扱っている. |
例と答
(1) f(x)=ex のマクローリン展開を求めよ.
f’(x)=ex, f”(x)=ex, ···, f(n)(x)=ex( y(n)はn次導関数) |
(2) f(x)=sin x のマクローリン展開を求めよ.
f’(x)=cos x, f”(x)=−sin x, ··· |
(3) f(x)=cos x のマクローリン展開を求めよ.
f’(x)=−sin x,f”(x)=−cos x, ··· |