◇1変数での変数変換◇1変数の関数において,変数変換を行うことにより分かりやすい形に直すことはよく行われる.例1 y=4sin x−cos 2x の最大値,最小値を求めるとき, sin x=t とおくと,−1≦t≦1 y=4sin x−(1−2sin2x)=4t−(1−2t2)=2t2+4t−1 =2(t2+2t)−1=2(t+1)2−3 t=−1 (x=−+2nπ)のとき最小値−3 をとる. t= 1 (x=+2nπ)のとき最大値 5 をとる. |
例2 y=ex+e−x の最小値を求めるとき, ex=t とおくと,y=t+ ex=t>0 だから,相加平均と相乗平均の関係により, y=t+≧2 (等号はt=1 のとき) よって,x=0 (t=1)のとき,最小値 2 をとる. |
◇2変数での変数変換◇○ 以下においては,uv 平面上の点 (u , v) に対してxy 平面上の点 (x , y) を対応させる対応(変換)について考える.
○ 変換のうち,次の形で表わされる1次変換が特に重要である.
○ 1次変換は,行列を用いて次の形で表わすことができる. のとき,任意の点 (x , y) に対して,原像 (u , v) がただ1つ存在する. |
※ 平面上の点 (u , v)∈R2 を平面上の点 (x , y)∈R2 に対応させる写像 T :R2→R2は変換と呼ばれる.(さらに,R2→R2の「1対1の写像」であることや「上への写像」であることを条件にすることもある.R2→R2の「上への1対1の写像」となっているときは,平面全体は平面全体に写され,ある点 (x , y) の原像 (u , v) はただ1つに定まる.) ※ 後に述べる(第7章)重積分での利用法に合わせて,以下においては, (u , v)→ (x , y) の形で変数の変換を考える. |
例1 1次変換
基本ベクトル =(1 , 0) が= (1 , 1) に写され, 基本ベクトル =(0 , 1) が = (1 , 2) に写されるから, 1次変換の線形性 により,u+v は,u+v に写される.(右図参照) |
○ v=b (一定)となる直線の像を u-曲線といい,u=a (一定)となる直線の像を v-曲線という.u-曲線,v-曲線を xy 平面上に描けば変換の様子が分かりやすくなる. ※ u-曲線,v-曲線という名前と,一定となる変数が逆になっていることに注意.u-曲線では,変数 uのみが変化する. xy 平面において,y=b (一定)は x 軸方向の直線となり,x=a (一定)は y 軸方向直線となることを連想すればよい. ○ 1次変換では,網をゆがめた形をイメージするとよい.(次の図において返還後の網目は,幾つかのu 曲線とv 曲線) (1,0)→(1,1), (2,0)→(2,2), (3,0)→(3,3) などと写される. (0,1)→(1,2), (0,2)→(2,4), (0,3)→(3,6) などと写される. (2,3)=2(1,0)+3(0,1)→2(1,1)+3(1,2)=(5,8) などと写される. |
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例2 1次変換
基本ベクトル =(1 , 0) が= (1 ,−1) に写され, 基本ベクトル =(0 , 1) が = (−1 ,−1) に写される. |
(1,0)→(1,−1), (2,0)→(2,−2), (3,0)→(3,−3) などと写される. (0,1)→(−1,−1), (0,2)→(−2,−2), (0,3)→(−3,−3) などと写される. (2,3)=2(1,0)+3(0,1)→2(1,−1)+3(−1,−1)=(−1,−5) などと写される. |
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◇Jacobi行列(ヤコビ行列)◇1次変換とは限らない一般の変換において,uv 平面上の点 (a , b) の近くにおいては,次の近似式(1次近似)が成り立つ.x=f(u , v)≒f(a , b)+fu(a , b)(u−a)+fv(a , b)(v−b) y=g(u , v)≒g(a , b)+gu(a , b)(u−a)+gv(a , b)(v−b) そこで, は,ほぼ1次変換と見なせる. 点 P(a , b) におけるこの行列をJacobi行列(ヤコビ行列)といい,JP で表わす. dx=x−f(a,b) , dy=y−g(a,b) , du=u−a , dv=v−b とおくと, となる. |
Jacobi行列の例 x=2u2+3v y=4u+5v2 で表わされる変換において,点 P(1 , 1) におけるJacobi行列は, xu=4u , xv=3 , yu=4 , yv=10v より |
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◇Jacobi行列式(ヤコビ行列式)◇| JP| あるいは det ( JP) をJacobi行列式という. ある変換による点 P(a , b) におけるJacobi行列式を| JP| とするとき,この変換によって,点 P(a , b) 付近の微小領域は面積が| det ( JP)| 倍の領域に写される.
(解説) 基本ベクトル =(1 , 0) , =(0 , 1) によって作られる 1×1=1 の正方形は, , によって作られる平行四辺形に写されるから,右のように,面積は| det ( JP)| 倍となっている. |
2つのベクトル =(a,b) , =(c , d) で作られる平行四辺形の面積を求めると,
(a+c)(b+d)−bc−ab−cd=(ad−bc)
だから,平行四辺形=(ad−bc)=
負の値をとることもあるので,絶対値を付けると |ad−bc|
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問題
(半角数字=1バイト文字で答えよ) |
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•v=0のときx=u, y=2u→(媒介変数uを消去)→y=2x •v=1のとき x=u−1, y=2u+3→(媒介変数uを消去)→y=2x+5 •v=2のとき x=u−2, y=2u+6→(媒介変数uを消去)→y=2x+10 •u=0のときx=−v, y=3v→(媒介変数vを消去)→y=−3x •u=1のときx=1−v, y=2+3v→(媒介変数vを消去)→y=−3x+5 •u=2のときx=2−v, y=4+3v→(媒介変数vを消去)→y=−3x+10 |
II)
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xu=2u , xv=2 , yu=3 , yv=−8v だから |
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xr=cosθ , xθ=−rsinθ , yr=sinθ , yθ=rcosθ だから |JP|=r だから,r=1 , θ= 付近の微小領域の面積は等倍(1倍)になる. |