3 行列の定義
○ 行列(matrix)とは,スカラー(数とか式)を縦,横に並べたもので,配列(array)ともいう. ○ m×n個の数を長方形に並べ [ ] または ( )でくくってまとめたもの または をm行n列の行列,m×n型の行列,m×n行列,(m,n)行列などという. ○ 行列を表わす記号には大文字を用いる.たとえば とおいて,行列A,行列Bという. ○ 行列Aの上からi番目,左からj番目に現われる数aijを行列Aの(i, j)成分という. ○ 2つの行列A,Bは「型が一致」して,かつ「すべてのi, jについてaij=bij」のとき,等しいといいA=Bと書く. |
例1 (1) 4軒のコンビニで,りんご,かき,みかんの単価を調査した結果をこの順に並べたもの (2) 2×3行列Bにおいて(i, j)成分をbij=i+jの規則でつくったもの (3) 次の2つの行列は等しい.すなわち,C=Dである. 次の2つの行列は等しくない.すなわち,E≠Fである.(行列の型が異なる.) |
○ 行列Aの成分の横の並びをAの行(row)といい,上から第i番目の行を第i行という. の第i行(1≦i≦m)は また,行列Aの成分の縦の並びをAの列(column)といい,左から第j番目の列をAの第j列という. の第j列(1≦j≦n) は |
○ よく現われる特別な行列として,次のようなものがある. • 1×n行列をn次の行ベクトル(横ベクトル),m×1行列をm次の列ベクトル(縦ベクトル)という. 行列Aの第j列ベクトル を束ねると と書ける. • すべての成分が0であるm×n行列を零行列(zero matrix)といい,0m,nで表わすが,型が明らかな場合は0と書く. 例2 2×3型の零行列は • 行数と列数が等しい行列を正方行列(square matrix)といい,n×n行列をn次の正方行列という. 例3 は2次の正方行列である. • 対角線上にある成分(右下がりの対角線,すなわち行番号と列番号が等しい成分) a11,a22,… ,annを対角成分という. 特に,正方行列であって,かつ,対角成分以外のずべての成分が0であるような行列を対角行列(diagonal matrix)という.(対角成分は,何でもよい.) 例4 次の行列Aの対角成分は,3,0,1,行列Bの対角成分は,4,3,0,1であり,Aは対角行列でなく,Bは対角行列である. • 対角成分がすべて1となる対角行列を単位行列(identity matrix,unit matrix)という.n次の単位行列をEnで表わし,次数が明らかなときは,Eで表わす. 例5 • 対角成分がすべて等しい対角行列をスカラー行列(scalar matrix)という.スカラー行列はkEの形に表せる. 例6 次の行列はスカラー行列である. |
■確認テスト■
(半角数字で答えよ) |