◇面積とは何か◇(考え方の要点)A は2次元の図形,m(A) は図形にその面積を対応させる関数とするとき,関数 m(A) は次の性質をもつ. (1) m(A)≧0
上の性質を前提とすれば,例えば次のような常識(?)も証明可能な定理となる.(2) m()=0 (は空集合) (3) A∩B=のときm(AB)=m(A)+m(B) 面積を表わす関数 m(A) は,さらに次の性質を持つものとする: (4) 長方形 R については,m(R)=ab 「C⊃D ならば m(C)≧m(D)」 (∵) 集合 C のうち D でないものを C−D で表わす.(参考までに,C+D という記号は使わず,和集合は CDと書く.) (C−D)∩D=,C=(C−D)D だから m(C)=m(C−D)+m(D) m(C)−m(D)=m(C−D)≧0 |
○ 左の性質(1)(2)(3)を満たすものの例
A を事象とし,p(A) を事象 A が起こる確率とすると,○ 左の性質でA は3次元の図形,m(A) は図形にその体積を対応させる関数とするとき,(4)は次の形になる. (4) 直方体 R については,m(R)=abc |
◇曲線で囲まれた図形の面積◇右図のように,区間 a≦x≦b において,関数 y=f(x) がつねに正のとき,区間 a≦x≦b において,関数 y=f(x),直線 x=a,x=b および x 軸で囲まれた図形の面積を S とすると,(1) 左端の図から, (2) 2分割したときは,中央の図から, (n) 分割を細かくしていくと, ≦S≦M1(x1−a)+M2(x2−x1)+···+Mn(b−xn-1) (右辺)-(左辺)=Σ(Mi−mi)(xi−xi-1) Mi−mi の値のうち最大のものを d とおくと, =d(b−a) |
※ 小学生のときに,次のような地図から島の面積を求めることがある.塗りつぶされている方眼の数を数えて面積とするのであるが,縦横の線を細かくひけば,もっと正確な値を求めることができる.(半分以上塗りつぶされている方眼を数える(四捨五入する)など近似の精度を上げる工夫もあり得る.)
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◇定積分の定義◇右図のように区間 a≦x≦b をn個に分割し,a=x0<x1<x2< ··· <xn-1<xn=b とする. また,小区間 xi-1≦x≦xi の幅をΔxiとし,Δxi の最大値を|Δ|とおくとき,区間 a≦x≦b における関数 f(x) に対して次の極限値を定積分という. 【 定積分の定義 】
※ この定義自体の練習を行う場合を除いて,この定義を用いて直接計算することはない. ※ 区間 a≦x≦b において f(x)≧0 のとき,この式で定まる値を面積とする. f(x) が必ずしも正または0 と限らない一般の場合,この式を定積分の定義とする. |
※高校までは,区間 a≦x≦b をn等分に分割するものとしていたが,上の図のように必ずしも等分でない分割でもよく,区間の幅の最大値|Δ|が0 に近づけばよい. |
◇定積分の基本的性質◇次の関係が成り立つ.
(1) 【 積分変数に依存しない 】
(2) 【 線形性 】 (2) 【 積分区間の性質 】 |
秋の奈良 |
◇重積分の定義◇右図のように,xy 平面上の領域 K をn個の微小領域に分割し,各微小領域 Ki 内の任意の1点を Pi ,微小領域の面積を ΔAi ,ΔAi の最大値を Δ とすると,f(Pi )ΔAi は底面積×高さとなって右図下のような角柱の体積となり,これらの総和 Σf(Pi )ΔAi は右図のような立体(山)の近似値となっている.xy 平面上の領域 K における2変数関数 f(x , y) の定積分,すなわち重積分を次のように定義する. 【 重積分の定義 】
(解説)立体の体積を V,微小領域上の立体の体積をVi とおくと ΣmiΔAi≦ΣVi≦ΣMiΔAi f(x , y) が必ずしも正または0 と限らない一般の場合については,符号付きで体積を表わすこととなるが,この式を重積分の定義とする. |
※ 角柱の底面積ΔAiをΔxΔy と考えると, ΔAi→0 に対応して,ΔxΔy→dxdy と書くことができる. |
◇重積分の基本性質◇重積分は次の性質をもっている.【 線形性 】
【 加法性 】 2つの領域 K,Hに重なる部分がないとき: すなわち,のとき, |
[加法性] 各々の体積を加えると,全体の体積になる. |